この連載について
私たちは毎日、読まないまま同意ボタンを押しています。それは本当に「同意」なのでしょうか。
本連載は、個人情報保護という枠組みそのものを問い直します。儀式化した同意。データブローカーによって合法的に流通する個人情報と、匿名化の限界。マイナンバーや医療データを集約しながら保護を語る国家の二重構造と、Nシステム・防犯カメラ・顔認証が張りめぐらされた「拒否する自由」なき街。学習データと忘れられる権利をめぐり、AIが飛び越えてしまった境界線。
さらに視線は私たち自身にも向きます。守ってほしい、でも私を知ってほしい——プライバシー・パラドックスという矛盾。そして年間1万9千件を超える漏えいと、形式主義に疲弊する「守る側」の現実。
三重の機能不全を踏まえ、最終回で提示するのは「保護」から「信託」への転換です。受託者責任、データ信託、情報銀行、PDS。悪用さえされなければ、もっと使ってほしい——その本音から出発する全9回です。
